つぶ貝の冷たい茶碗蒸し

料理

私の働いている居酒屋の、とある気むずかしい常連さん。

いつもお品書きにないものを注文して、文句ばっかり。

やれ、硬いだの、しょっぱいだの、嫌いなものが入っているだの…。

でも毎回注文してぶつくさ言いながらも完食してくれるので、なんだか憎めません。

そうやって、日々のガス抜きをしているのかな。

いつからかそのお客さんが来ると、『今度こそおいしいって言わせるぞ!!』と意気込むようになっていました。

その日は、別のお客さんからの差し入れのつぶ貝を茹でた茹で汁があまっていたので、暇だったしお塩と昆布だしを足して茶碗蒸しに。

そしてなんとなく目の前にいた彼に『これ食べる?』と出してみました。

すると、『…15年通ってきたこの店で食べたものの中で一番おいしい』

え!?これが??

このあまったものでなんとなく作ったやつが!??

いやー、とってもびっくりしました。

なるほど、こういうのが好きなのね…。

その日は3つしか作りませんでしたが、せっかくなので後日ちゃんとメニューとして出すことに。

材料

  • 卵 6個
  • 昆布だし 700㎖
  • つぶ貝の茹で汁 400㎖
  • 酒 50㎖
  • 枝豆 1袋
  • つぶ貝 10個くらい
  • 塩 適量

作り方

枝豆を塩でこすり洗いして汚れを落とし、4分茹でたら、さやから出しておきます。

つぶ貝は袋に入れ麺棒などでバンバン叩いて、殻から外します。

ちょっとかわいそうなので手早く…。

塩を振って強く揉み、ぬめりを落とします。

つぶ貝はすごくぬるぬるしているのでけっこう何度もお水をかえました。

やっときれいになった!

つるーん。

鍋に水と酒とつぶ貝を入れ沸いたらアクをすくって火を止めて冷まします。

思ったよりアクがたくさん出たのでキッチンペーパーで漉しました。

茹でたつぶ貝は、貝蓋を剥がし半分に切り、ワタの部分を削ぎ取り綺麗にします。

卵を溶き、だし汁と貝の茹で汁を合わせて味見をしながら塩で味をととのえたらザルでこして、準備完了ー。

あとは器に具を好きなだけ入れて卵液を注いで蒸すだけ。

強火で2分、弱火で10分。

完成

よく冷やしたら出来上がり!

最後に

開店ほどなくして、さっそく例のお客さんもいらっしゃいました。

『あ、茶碗蒸しあるの?じゃあちょうだい』

よしきた!

褒められたことに味をしめ、ワクワクしながら茶碗蒸しを出すわたし。

客『ぱくっもぐもぐ』

私(またほめてくれるかなー)

客『もぐもぐ』

私(ワクワク)

客『…』

私(…)

客『…(完食)』

いや、感想なしかーい!

いつものダメ出しすらないんかーーい!!

おかしいなあ、他のお客さんにはけっこう好評だったのに…。

というか、最初作ったのと同じなのになあ。

やはり、酒場の常連さんというのは一筋縄ではいかないようです。

これからも、果敢にチャレンジしていこうと熱意を燃やし、夜は更けていきました。

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